ANALYSIS A-03

采配は得か(バント・申告敬遠・盗塁)

分かること
走者・アウトの状況ごとに、その回に入る得点の平均と、作戦による増減
分からないこと
1点だけが欲しい場面や、打者・投手の力の差を含めた個別の判断
使い方
「この作戦は平均的にどれだけ得か損か」の目安に

「得点期待値」は、ある状況(アウトの数と走者)から、その回の終わりまでに平均で何点入るかです。作戦の前と後でこの値がどう変わったかを見れば、作戦の損得が分かります。2015〜2025年のレギュラーシーズン(1〜8回)で計算しました。

無死一塁からの送りバントは、得点期待値を平均-0.17点変えました(2,252回)。一方で「1点でも入る確率」は42%から実際には40%でした。

01得点期待値の表

走者無死1死2死無死(1点以上)1死(1点以上)2死(1点以上)
走者なし0.510.270.1028%16%7%
一塁0.910.540.2342%27%13%
二塁1.150.700.3361%40%22%
三塁1.390.980.3783%66%26%
一・二塁1.520.950.4562%42%23%
一・三塁1.801.210.5085%64%27%
二・三塁2.031.420.5884%68%26%
満塁2.361.620.8086%67%33%

左の3列はその回の終わりまでの平均得点、右の3列は1点以上入る確率。

02送りバント

状況回数得点期待値の変化バント前の「1点以上」の確率実際に1点以上入った割合
0アウト一塁2,252-0.1742%40%
0アウト一・二塁1,187-0.0162%71%
1アウト一塁1,105-0.1927%25%
0アウト二塁1,088-0.1261%69%
1アウト一・二塁301-0.3242%28%
1アウト一・三塁259+0.1364%81%
0アウト一・三塁111-0.1185%77%

送りバントは、多くの状況で得点期待値(平均の得点)を下げます。ただし終盤に「1点だけ」が欲しい場面では、1点以上入る確率が上がる状況もあり、そこが作戦としての意味になります。投手が打席に立っていた時代(ナ・リーグは2021年まで)の数字も含みます。

03申告敬遠

状況回数得点期待値の変化敬遠前の「1点以上」の確率実際に1点以上入った割合
2アウト二塁1,841+0.1322%20%
2アウト二・三塁919+0.2226%27%
1アウト二・三塁908+0.2068%64%
2アウト三塁593+0.1326%22%
1アウト二塁455+0.2540%47%
1アウト三塁231+0.2366%65%

申告敬遠は、ほぼすべての状況で相手の得点期待値を上げます(守る側には損)。それでも使われるのは、次の打者が弱い・併殺を狙える・左右の相性など、平均では見えない理由があるときです。

04盗塁(二盗)の損益分岐点

状況盗塁前の期待値成功したとき失敗したとき必要な成功率
0アウト一塁0.911.150.2771.9%
1アウト一塁0.540.700.1072.3%
2アウト一塁0.230.330.0070.5%
二盗の成功率(年別)68.0%71.4%74.8%78.1%81.5%20152016201720182019202020212022202320242025二盗の成功率 2015: 69.6%二盗の成功率 2016: 71.1%二盗の成功率 2017: 72.8%二盗の成功率 2018: 71.9%二盗の成功率 2019: 73.3%二盗の成功率 2020: 75.2%二盗の成功率 2021: 75.7%二盗の成功率 2022: 75.6%二盗の成功率 2023: 79.9%二盗の成功率 2024: 79.2%二盗の成功率 2025: 78.0%

二盗は、成功率が上の「必要な成功率」を超えれば得になります。近年の成功率はこれを上回っていて、2023年のルール変更後はさらに上がっています。

ルール変更前(2015〜2022年)と後(2023年〜)で、無死一塁の得点期待値は0.91→0.90、無死走者なしは0.51→0.50。

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